梅花心易

▼梅花心易

梅花心易の元となる「易」とは、陰陽思想を元に構築された古代中国の思想の一つになります。
古代中国の伝説上の帝王である「伏羲(ふっき ふくぎ)」により、「太極-両儀-四象-八卦」が考案され現代で言うところの、伏羲八卦次序(先天八卦)が誕生したとされます。
この八卦を二つ組み合わせることにより、六十四卦が形成されます。

この六十四卦を体系化し、卦の解説を考案したのが古代中国周王朝の「文王」であり、その子の「周公」が爻の解説を考案したとされます。
この伏羲の八卦、文王の卦辞、周公の爻辞のことを易とするのが一般的な考え方になります。
現代ではさらに研究が進み、易とは古代中国で行われていた卜辞の集大成であり、卦名や卦辞、爻辞は別のところで生まれ、後に統合されたという考え方もあります。
ここでは、これまでの易の考え方の定説でもある、「伏羲」「文王」「周公」の説を元に解説させていただきます。
陰陽思想や易の思想を考える際に、古代中国の殷王朝から周王朝に掛けての時代背景は非常に大事なものであり、封神演義の舞台にもなったこの時代は中国占術の大事な基盤ともなっています。
四柱推命で活用する暦や風水の考え方の基本、紫微斗数の背景などはこの時代から生まれています。
周易や奇門遁甲などもこの時代背景が大事な要素となっています。

上記の背景から生まれた易が、後の儒教の経典として体系化され、哲学書としての「易経」が確立されます。
文王や周公が体系化した易を「周易」とし、儒教の経典として体系化されたものが「易経」といった感じで考えます。
儒教の始祖である古代中国の孔子が、晩年に周易を愛読し、解釈を加えたものが儒教の経典となる「易経」の誕生となります。
後の研究では、この考え方の信憑性が問われていることもありますが、ここでは孔子説を元に「易経」を考えていきます。

この易~周易~易経を考えていく際に非常に重要になるのが、陰陽思想になります。
森羅万象、全てのものは陰と陽から成り立つという考え方であり、対を成して成り立っているという視点になります。
易の基本となる八卦は、陰と陽の二つの要素からなる爻を三つ組み合わせたものになります。
その八卦を重ねたものが六十四卦であり、陰陽二つの要素からなる爻を六つ組み合わせたものになります。
この際、下になる八卦を内卦と呼び、上になる八卦を外卦と呼びます。
内卦と外卦の組合せにより、六十四卦が構成され、その六十四卦それぞれに意味があり、六十四卦の各六爻にも意味があり、周易は構成されています。

易は占う際に「卦を立て」、六十四卦がどれなのか、そのうちの六爻がどれかを算出します。
算出された卦の意味と爻の意味を元に占い結果を出すのが占術で言うところの周易になります。
卦を立てる方法には、古典的な手法から近代的な手法まで様々なものがあります。
易を専門としている占術家は古典的な立卦法を用いるのが一般的であり、様々な占術を用いて占断する占術家は現代的な立卦法を用いるのが一般的になります。
立卦では、「筮竹(ぜいちく)」と呼ばれる竹ひごのようなものを使う方法が古典的なものであり、貨幣や賽子を用いるのが現代的な手法になります。
近代ではイーチンタロットと呼ばれる、カード型の立卦法などもあります。

易の基本となる八卦には、それぞれ重要となる意味があり、その八卦が重なることで、内卦と外卦でそれぞれ干渉し合いどのような事象を生むのかというのが基本的な考え方になります。
立卦したものがどのようなもので、どのような意味合いがあり、どのような思想を持つのかを読み解くのが占術においての易の大事な部分になります。
この立卦法や八卦、六十四卦の解釈法は古代中国より様々な人の手により研究され、体系化されてきたのが現代の「易」であり、「周易」「易経」になります。
その後、この易は五行思想を取り入れることにより、古代中国の鬼谷子(きこくし)により、「断易(五行易)」が考案されていくことになります。
この断易とは、五行思想を取り入れていることから五行易とも呼ばれています。
断易では、五行思想や十二支の背景を取り入れ、占断の幅をより明確にしていることが特徴になります。

「周易」や「易経」では、占断内容が漠然としていることや、質問者の心に問いかけるような視点になっているのに比べ、断易は質問に対しての答えを明確に出します。
占断の結果の吉凶を明確にするため、状況把握をする際には有効な占断法になります。
易から助言や今後の方針を得ること、普段の心構えや生き方を知る際には「周易」が有効的な占術になります。
その一方、断易では質問に対しての良し悪しを明確にするため、どちらかというと客観的な視点での判断になります。

このような背景を持つ「易」というものに新しい切り口を加えたのが、後の時代に現れた儒学者「邵康節(しょうこうせつ)」になります。
邵康節は、易学についての研究を深め、自然事象を六十四卦として捉え、未来を予測するという易学の新しい立卦法を考案することになります。
この邵康節の考案した立卦法と易学の解釈が「梅花心易」になり、筮竹や賽子のような道具を使わず、その時に起こった事象や暦などから立卦し、未来を予測するという占術になります。

実際の鑑定時には、質問内容やその場の状況、日時などから立卦し、未来を予測していくという手法をとります。
立卦された六十四卦や爻から、質問内容やその依頼者、などを考慮し、どのような出来事が起こるのかを読み解くのが梅花心易になります。
梅花心易は非常に易学を深く研究するための手段としても活用でき、六十四卦や爻の意味や解説を、実際の生活や環境に合わせて考えることで易学がより身近なものとなります。
易学への知識を深めるだけではなく、他の占術の基本的な考え方を深めることや、考察力を高めること、創造力を豊かにすることなど、色々な恩恵を得る事ができます。
周易や梅花心易を取り入れていくことで、その時々に応じた最適な助言を得る事ができ、より良い未来を現実的なものにすることができます。

▼占術(占い方法)