風水

▼風水(ふうすい)

風水とは、都市建設や墳墓建設の際に、土地に流れる気の良し悪しを判断する古代中国の思想になります。
数々の自然災害などの経験を元に、良い土地の選別をする基準を体系化したものでもあります。風水の基本的な考え方は、太祖山と呼ばれる山の頂から気が発せられ、山の尾根を伝い気が流れていくことになります。
また、この気の流れる山の尾根を龍脈と呼び、この龍脈の流れの先に気が湧き出る龍穴があるというのが基本になります。

この気が湧き出る地は良気に満ち、この土地に都市を建設すると繁栄するというのが古代中国の風水の元になった基本概念になります。
この土地に流れる気の吉凶を判断することを「巒頭(らんとう)」と呼びます。
巒頭は、土地に流れる気を読み、都市建設や墳墓建設の際に良い土地を選定するという視点で考えます。

巒頭による土地の選定ができると、次は実際の建物や墓碑の建設になります。
この建物や墓碑を建設する際の向きや方位、位置などを決める基準となるのが「理気(りき)」になります。
理気とは、天地の気の流れを判断する手法であり、建物や墓碑の方位の吉凶を判断します。
良い方向を向いている建物や墓碑には良い気が入り、住人の生活は安定し子孫が繁栄していくとされます。
墓碑の場合には、巒頭や理気の状態が良いと先祖は安らかに眠り、その遺伝子を受け継ぐ子孫が繁栄するとされます。

このように風水では、巒頭と理気から土地の状態と建物の向きの判断が非常に大事であり、この吉凶の判断から始めていくのが基本的な進め方になります。
良い土地で建物の向きが良ければ良い気を取り入れ、それを逃がさないように囲い込むことが大事になります。
悪い土地や建物の向きが悪い場合には、気の流れを調整することなどで、悪い気を逃すことや取り入れないように調整していくことが重要です。

上記のような風水の基本的な考え方は、古代中国の殷や周の時代には既に存在していたとされます。
この時代の風水(風水という呼び名は、実際に使い始められたのは、後の晋の時代あたりとされる)は、主に人の住む土地や集落の土地の吉凶を判断していたとされています。
このように、人の住む土地の吉凶を判断する風水術を「陽宅風水」と呼びます。
後の晋の時代あたりでは、人の住む土地ではなく、墓地の吉凶を判断する風水術が盛んになり、現代で言うところの「陰宅風水」の基盤が体系化されていきます。
風水は、土地に流れる気を読む巒頭と、天地の気の流れを読む理気があり、人の住む土地と家屋を判断する陽宅風水と、墓地と墓碑を判断する陰宅風水があります。

また、風水では土地の吉凶を判断する際に、「龍 穴 砂 水 向」の五つの要素を重視して判断していきます。
地理五訣とも呼び、土地の吉凶を判断する基準ともなる非常に重要な要素になります。
太祖山から湧き出た気の流れを「龍」と呼び、この気が湧き出る地を「穴」と呼びます。
土地を取り巻く環境や地形、建物を「砂」と呼び、水や気の流れを「水」と呼びます。
そして、建物や墓碑の向きである「向」の五つの要素を順に読み解くのが風水の基本的な考え方になります。

これらの気の流れを調整できる部分を調整し、建物に合わせて風水調整していくのが風水鑑定でもあります。
鑑定の際には風水羅盤と呼ばれる方位と吉凶を判断できる道具や、魯班尺と呼ばれる大きさや長さの吉凶を判断する道具が使われます。

本格的な風水鑑定では、土地の吉凶の判断から始めるのが理想であり、購入する土地の良し悪しを選定する段階から考慮することが大事になります。
既にある土地を判断する際には、その土地に流れる気を判断し、気の流れを調整することから始めます。
庭や塀なども含め、建物を建てる時期や向きを決め、建設を始めていく手順になります。
建設後の家屋に対しては、その家屋に合わせて屋内の風水調整などをしていく流れになります。
家具の置き方や空間の使い方などを風水を元に進めていきます。

実際の風水鑑定と風水調整では、現地での風水羅盤を用いた鑑定が非常に大事になります。
実際の土地や家屋の状態、周囲の建物や気の流れなどを確認しないことには本格的な鑑定ができません。
店舗での鑑定の際には、本格的な風水鑑定をする事は出来ず、間取り図を元に風水調整のアドバイスをさせて頂く程度のものになってしまいます。
それでも間取り図に記載されている方位と、実際の方位が微妙に違うことなどもあるため注意が必要になります。

風水の鑑定は、人の住む家屋や先祖の眠る墓地だけではなく、会社のビルやテナントなどでも活用できます。
家や墓地を買う際には非常に大事な判断基準になりますし、オフィスなどの風水調整をすることで業績を向上させるという手法もあります。
また、家相は中国の風水を元に日本で独自の発展を遂げた占術であり、ここでの風水の考え方とは違う部分などがあります。
そして、風水には実に数多くの流派が存在しており、それぞれの流派での鑑定法なども様々なものがあります。
風水師によって、考え方が変わるのはこのような背景があるからです。
どの流派も研究を重ねて体系化しているため、どの流派も当たるものとして考えた方が良いでしょう。

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